家づくりコラム

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ビニールクロスの不具合はどこまで無償補修してくれるのか

明星光紀
更新日

住宅の保証には長期保証、短期補償、補償なしの3種類があります

一生に一回の家づくり。マイホームは長い年月をかけてローンを返済していく高価な買い物ですので、不具合が発生したり、みつけた場合は「高い買い物をしたので、出来るだけ無償で直してほしい」という気持ちをお持ちになるのも分かります。

しかしながら、ご採用頂いている住宅設備や建材には補償という考えがどうしてもついて回りますので、今日はその点についてご説明させて頂きます。

まずは長期保証(10年)ですが、これは住宅の瑕疵担保保険でも定められている事が対象となります。

大きくこの2つです。外装材もメーカーさんによっては長期保証してくる商品もありますが、最近は外装材絡みの不具合報告はほとんどなくなってきている(製品や施工方法が充実してきている)ので、実際に補償が適用されるのかどうかは不明です。(メーカーさんによっては補償をうたいながらも、理由をつけて対応してくれない事もありますので)

続いて短期補償。お風呂やキッチン等の住宅設備や照明器具等の電気製品、それぞれのメーカーさんが補償してくれるものでは1年~2年の保証が多いようです。住宅設備については延長保証料を支払うことによって期間を延ばす事も可能ですが、個人的にはエコキュートの保証(10年で3万円程度)にさえ加入しておけば、まさかの時の痛い支出を担保できるのではないかと考えています。

最後に補償なしです。

補償なしについては各種仕上げ材(ビニールクロスや床材等)が対象となります。この補償なしが一番グレーなところなので、今日はこの補償なしの中で特に不具合報告が多いビニールクロスについて話を掘り下げていきます。

便利な建材(商品)にもデメリットはあります

シティハウスが建築させてもらっているお宅の内装材(壁・天井の仕上げ材)はほぼビニールクロス(以下:クロス)をご採用頂いています。これは弊社だけでなく、多くのメーカーが採用しています。

なぜクロスを採用するのでしょうか?

このように良いところづくしに見えるクロスですが、実は良い反面デメリットもあります。

その最たるものが以下2つの症状です。

クロスを貼る下地には石膏ボード(プラスターボード 以下:P.B)が使われており、(用途や場所によってはコンパネという合板が使われます。)主にこの下地が動く事によって症状は起きると考えられています。その他には大きな道路が近くにあり、通行する車(トラック等)の振動で家が揺れる事も考えられます。

当たり前ですが、住宅メーカーはお客様を困らせようと思って工事をする事は有り得ませんし、出来るだけ不具合がないように最善を尽くします。

それでもどうしても起きてしまうのがこの症状です。
事前に分かっているので、ご採用頂く際には不具合が生じる可能性は高い事をお伝えします。それでも、お客様は実際に自分の身に起こらないと実感が湧きませんし、事前にクロスのデメリットを聞いたとしても記憶に残っている事は少ない為、不具合報告としてあがってくるのです。

その結果、お引渡し以後の定期点検の際に「クロスがヒビ割れてきたんですけど、どうすればいいですか?」よいうご質問を頂く訳です。

クロスの不具合への対応について

私達の対応としては【クロスはどうしてもそういう症状が起こり得る事】をご説明した上で、あまりにも症状が酷い場合は無償で出来る範囲の修繕工事をしています。(原則として張替えはしていません)

すこし恩着せがましい言い方ですが、基本的には補償なしの項目についての補償ですので。

修繕をさせて頂く際は以下の事もご了承していただいております。

最後に

冒頭にも書きましたが、家は一生に一回の買い物だし、大きな買い物を私達に託して頂いたお客を大事にしたいとはいつも考えています。そして、お引渡し後も良いお付き合いしていく為にもこのような嫌な事、言い難い事から目を背けず、事前にしっかりと説明する事は大事だと考えています。

不具合によるトラブルのほとんどが説明不足ですからね。

便利な建材(商品)にもデメリットがある事をしっかりお伝えして、今後も大事なお客様と良好な関係が維持できるように努めたいと考えます。